メガロス2Q決算 7-9月 売上回復も会員減少止まらず

メガロスをグループ傘下に持つ野村不動産ホールディングスは、2021年3月期 第2四半期決算を開示した。メガロスが含まれるセグメント損益によると、4月〜9月までの第2四半期累計売上高は、前期比▲45.4%の4,656百万円(前期実績 8,526百万円)となった。

メガロスの四半期売上高推移のグラフ
野村不動産ホールディングス株式会社 開示資料より編集部作成

メガロスは緊急事態宣言発令前の3月3日から約半月の店舗休業を実施しており、2020年3月期の第4四半期から売上の減少が発生している。2021年3月期 第2四半期(7-9月)では売上3,488百万円となり以前の40億円台までは戻りきらなかったものの復調の兆しを見せた。

メガロスの会員数推移のグラフ
野村不動産ホールディングス株式会社 開示資料より編集部作成

一方で四半期末の会員数推移は11万人台まで減少、前期末から約3万人が減少した。業績の復調に反し会員の推移は戻らず、依然として新型コロナの影響を残す結果となった。

直近のメガロスは他社との積極的な連携を多く進めており、また「メガロスルフレ」など女性に向けたプログラムや業態開発を積極化させている。

https://bthefit.com/post-2013/

24/7Workout 20/11期 第3四半期決算、依然として厳しい決算続く

パーソナルトレーニングジム「24/7Workout」「24/7English」を運営する株式会社トゥエンティーフォーセブンの第3四半期決算が発表された。同社の第3四半期(累計)業績は、売上高3,998百万円(前期比▲32.4%)、営業利益▲1,028百万円(前期は926百万円の黒字)、経常利益▲1,015百万円(前期は926百万円の黒字)、当期純利益▲1,407百万円(前期は643百万円の黒字)となった。

同社は2019年11月に東証マザーズに上場、上場の翌月に2019年11月期の業績予想の下方修正を開示、上場後の最初の四半期開示で赤字決算を発表していた。業績予想の下方修正の理由は集客のメインとなるインターネット広告での入札状況など競合激化により新規会員の獲得が想定を約20%下回ったこと、会員獲得が計画通りに進捗する前提で採用した人件費などの固定費が利益を圧迫したとしていた。

2020年6月〜8月に当たる同社の第3四半期では、新型コロナウイルス感染拡大の影響が若干落ち着き営業再開が行われたものの、期初からの業績悪化とコロナの影響がまだ尾を引いており、事業進捗も芳しいものではなかった。

株式会社トゥエンティーフォーセブン2020年11月期の四半期推移表
株式会社トゥエンティーフォーセブン開示資料よりBtF編集部作成

四半期推移を見ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響が最も大きかった3月・4月に該当する第2四半期と比較すると、第3四半期では売上は復調しているものの、第1四半期の水準には達しなかった。

出店に関しては「24/7Workout 本八幡店」1店舗が新規オープンしたが、経営効率化・合理化を目的として新宿南口店、難波店、鹿児島店を店舗の移転による旧店舗の閉鎖を行った。「24/7English」では恵比寿店を渋谷店に統合し閉鎖した。こうした取り組みを受け、店舗移転や閉鎖による特別損失126百万円を第3四半期で計上している。

株式会社トゥエンティーフォーセブンの決算予約図
株式会社トゥエンティーフォーセブン開示資料よりBtF編集部作成

第3四半期の決算発表と同時に2020年11月期の業績予想も開示しており、売上高5,736百万円、営業利益▲1,166百万円、経常利益▲1,138百万円、当期純利益▲1,540百万円となっている。

同社の業績予想の背景についてのコメントでは、緊急事態宣言を受けて実施していた休業から営業再開した後、パーソナルトレーニングジムの需要は概ね回復、英会話については2020年9月以降に緩やかに需要回復すると見ているようだ。しかし20201年11月までは新型コロナウイルス感染拡大の影響は一定程度残るとしており、経済活動が継続可能という前提となっている。

【最新決算解説】カーブスHD 2020年8月期、コロナの影響大きく実質会員が約20万人減少

「女性だけの30分健康体操教室 カーブス」を運営する株式会社カーブスホールディングスの2020年8月期決算が発表された。8月決算の同社は3月〜8月の下半期のほぼ全てで新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け厳しい1年となった。

2020年8月期決算は、売上高250億82百万円(前期比▲10.5%)、営業利益11億67百万円(▲78.5%)、経常利益11億65百万円(▲77.8%)、当期純利益7億64百万円(▲79.4%)と減収減益になったが、黒字決算を維持した。

カーブス 2020年8月期の決算要約

四半期推移を見るとコロナの影響を受けた第3・4四半期で赤字となったが、第4四半期は売上が若干回復、赤字幅も縮小している。店舗数は2019年10月に2,000店舗を超え、第4四半期は純増は1店舗に留まったが純増で着地している。

株式会社カーブスホールディングス 2020年8月期決算の要約画像
カーブスHD開示資料からBEHIND THE FITNESS編集部作成

ただ会員へのインパクトは大きく、コロナ禍で急遽導入した「休会制度」の利用者は第3四半期で20万人を超えた。第4四半期で約10万人弱まで減少したが、休会から通常会員への復帰は約半数程度に留まっていると見られる。期初の82万人からすると、会費を毎月支払う会員を約22万人を失ったこととなり、月会費単価が6,000円とすると、月次で約13億円、年次で約150億円程度の減収プレッシャーとなる。

この減収プレッシャーは同社の決算に直接影響があるわけではなく、9割以上を占めるFC店舗の売上(チェーン売上高)へのプレッシャーとなる。その末端売上が減収になることで、FC本部である同社はFC店舗から受取るロイヤリティが減少する、そこで(物販を除き)同社の業績に直接的な影響が発生する。

FCを中心に店舗展開している同社にとって、FC店舗の売上が下がり運営を維持できなくなることが最大のリスクであるため、会員の回復の目処が一定まで立たない限り、FC本部としてFC店舗への様々な支援負担が必要となる。

株式会社カーブスホールディングスが発表した2020年8月期業績予想と実績との差異説明資料
(画像)株式会社カーブスホールディングス
2020 年8月期 業績予想と実績との差異に関するお知らせ

しかし通期決算発表と同日に開示された業績予想との差異についての資料を見ると、第3四半期決算発表時(2020年5月)に開示した修正業績予想よりも今回の通期着地が上方修正になったことがわかる。

この上方修正の主な要因は、特別休会会員の復帰が想定よりも増加したことと、物販も回復が堅調に推移したことが大きな要因で、FC店舗への経営支援金も予想より早い回復を受けて想定を下回ったことで増益となった。つまり新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きかった5月時点の想定よりも早く回復していることが分かる。

来期決算も黒字予想だが、会員の戻り見込み厳しく店舗は2,000店舗を下回る計画

カーブスホールディングスは来期の見通しも合わせて発表している。2021年8月期の予想業績は、売上高235億円(昨対比▲6.3%)、営業利益10億円(▲14.3%)、経常利益9.4億円(▲19.3%)、当期純利益6.1億円(▲20.2%)と黒字決算維持としている。

株式会社カーブスホールディングスが発表した2021年8月期の業績予想をまとめた画像
カーブスHD開示資料からBEHIND THE FITNESS編集部作成

しかしながら、第2四半期(2021年2月)までは赤字推移としており、売上111億円予想のため、2020年8月期の第3・4四半期とほぼ同水準での推移と予測していることが分かる。そのため同社としてはまだ半年程度は今と同じ状態が続くと考えているようだ。

出店については、来期1年間で新規出店は20店舗を予定しているが、コロナショックの影響が大きいFC店の閉店・統合を100店舗ほど予定しており、来期末は2,000店舗を下回る見込み。

会員数についても1年間で66万人程度までしか戻らない見込みを立てている。決算短信のコメントによると、新規入会の復調は下半期になると見込んでおり、着地の66万人から考えると現時点での休会制度を活用している約10万人の会員の復帰は限定的と捉えていると見られる。

2020年2月末にいた会員83万人が2020年8月末に実質60万人に減少したため、休会会員の復帰だけでなく、そもそも退会した23万人をどの程度の期間で取り戻せるかに業績回復のポイントが存在している。

来期の業績予想にはオンライントレーニング事業「おうちでカーブス」などの新規事業収益は織り込まれておらず、新事業の収益貢献はまだ時間がかかる見込みだ。同社は2022年末までの約2年間で新しいビジネスモデルの確立を目指すとしており、こちらの動向も気になるところだ。

フィットネス業界全体が厳しい環境で、上場各社は赤字決算の可能性もゼロではない状況ではあるが、黒字決算を維持し既存のビジネスモデルを見直す姿勢を崩していない同社の今後に注目したい。

主要フィットネスジムSNSフォロワー/登録者数ランキング、知名度の高い2企業が上位独占

フィットネス業界における重要な集客ツールとしてSNSがある。必ずしもフォロワーや登録者数が集客に直結するわけではないが、継続的にコンテンツに触れてくれることで来店の動機につながることも多い。

最近は、中小規模の新興ジムがSNSマーケティングに注力していることもあり、各社様々な取り組みをしている。そこで主要フィットネスクラブ・ジムの「公式ジム」のフォロワー/登録者を媒体別(Facebook、Instagram、Twitter、YouTube)に比較しランキングした。

取り組み内容や業態、顧客層によって特徴が見えてくるかもしれない。今後のSNS運用、SNSマーケティングの参考にしていただきたい。

なお、計測は2020年9月8日の日中に行い、サブアカウントや店舗アカウント、イベントアカウントはカウントしていない。ジムブランドの公式アカウントがなく店舗アカウントのみの場合や、そもそもアカウントが見つからない、公式アカウントか判断がつかない場合は「NA」と記載している。


Facebook部門:大手ルネサンスが健闘も首位はライザップ

日本の主要フィットネスクラブ・ジムのフェイスブック公式アカウントフォロワーランキング

Facebook、Instagram、Twitter、YouTubeの4媒体の中で、最もアカウントの設置率が高いのがFacebookだった。ページの「いいね」数ではなく「フォロワー」数を記録している。

ライザップに関しては、基本的に全媒体においてフォロワー/登録者が多く、高いブランド認知力を作り上げたマーケティングによって成長したブランドとして圧倒的だった。

逆にコナミ、セントラル、ルネサンスなど業界トップ3企業は本稿では影が薄く、Facebookにおいてルネサンスが健闘し2位にポジションをとっている。3位はホットヨガスタジオLAVA。女性会員が多いため、インスタグラムで強さを発揮すると思いきや、Facebookでも強さを見せた。


インスタグラム部門:女性会員の多いLAVAが首位も、24/7Workoutが実は影の覇者

日本の主要フィットネスクラブ・ジムのインスタグラム公式アカウントフォロワーランキング

最近はYouTubeと並び各社注力していると思われるインスタグラム、フォロワー数首位は約5万人のフォロワーを抱えるLAVAとなった。やはり女性会員と相性が良いのかフォロワーが多く、投稿に対するエンゲージメントも比較的高水準にあると言える。

2位はゴールジムで、会員の属性やコアなファンの多さを感じる結果となった。ゴールドジムはFacebookやTwitterでも高い順位につけており、ゴールドジムファンの熱量を感じる内容になっている。

一方で、インスタグラムは最も「店舗アカウント」や「イベントアカウント」「集客用コンテンツアカウント」が多いSNSでもあった。各社複数アカウントを保有していることが多く、その中でも特筆すべきなのは24/7Workoutだ。

24/7Workoutが運営する「247dieter」アカウント画面のキャプチャ画像
24/7Workoutが運営する「247dieter」アカウント

24/7Workoutは公式アカウントのフォロワーこそ約8,000人で7位となっているが、集客用コンテンツアカウント「247dieter」のフォロワー数は44万人を超えており、影の覇者となっている。

このアカウントでは主にダイエットの豆知識や、自宅でできるトレーニング、ダイエット食レシピなどを発信、パーソナルトレーニング手前の「ダイエット」に興味のあるユーザーをプールすることに成功している。いわゆる「集客」としてのインスタグラム活用で最もユーザー数を獲得している成功事例といえる。


Twitter部門:注力するフィットネスクラブ・ジムが少ないSNSの中で、ライザップが安定的な強さを見せる

日本の主要フィットネスクラブ・ジムのTwitter公式アカウントフォロワーランキング

SNS4媒体の中で、最もアカウント所有率が低いのがTwitterだった。その中でもやはりライザップ、LAVA、ゴールドジムの3社が強さを見せ上位を独占した。

中小規模のフィットネスクラブ・ジムの立場で見れば、Twitter上は大手と戦える(大手の投稿のシェアが少ない)市場とも言えるため、注力しても良いのではないだろうか。


YouTube部門:各社着々と参入し登録者を伸ばす、カーブスが3位にランクイン

日本の主要フィットネスクラブ・ジムのYouTube公式アカウント登録者ランキング

YouTubeはYouTuberの出現も含め媒体自体が成長している。フィットネス各社も開設したチャンネルの登録者を伸ばしている。おそらく現時点よりさらに伸びシロがありそうだ。

ここでもライザップとLAVAが強さを見せているが、3位にカーブスがランクインしている。カーブスのYouTubeアカウントに投稿された動画を見ていると、当初は広告コンテンツに近い動画が多かったが、直近はホームトレーニング動画をアップロードしており、再生数も伸びている。

新型コロナウイルス感染拡大による休業中に、会員に対してトレーニング方法を伝える方法として、特にカーブスの場合高齢者の会員が多いため、動画は伝わりやすい手段だと言える。


まとめ:ライザップとLAVAが全媒体で3位以内にランクイン

見てきたように、ライザップとLAVAが全ての媒体で3位以内にランクインし、そしてゴールドジムの強さが目立った。しかし、フィットネスクラブ・ジム各社にとって、SNSアカウントの活用目的とコンテンツの方向性、伸びシロはまだあるように思われる。

イギリス大手ジムPureGymのインスタグラムアカウントのキャプチャ画面
PureGymのインスタグラムアカウント
https://www.instagram.com/puregymofficial/?hl=ja

例えば、イギリスで急成長中の低価格ジムチェーン「PureGym」のインスタグラムアカウントのフォロワーは15.5万人だ。ヨーロッパ全土に対して会員を獲得しているジムとはいえ、1位のLAVA4.9万人の3倍以上だ。

しかし、24/7Workoutが運営している「247dieter」44万フォロワーという成功事例もある。アカウントの運営目的が、PRなのか、集客なのか、ブランディングなのか、啓蒙なのか、コンセプトを明確にし、それにあった高品質なコンテンツに「投資」を徹底して行うことが必要だ。

アンダーアーマー日本総代理店のドームDNSを売却、売却は再建の一歩となるか

「アンダーアーマー」正規日本ライセンシーの株式会社ドームは、「DNS」ブランドでプロテインなどのスポーツサプリメントの開発・製造・販売を行っている事業部門を売却すると発表した。

DNS事業の譲受先は、日本産業推進機構グループ(NSSK)が設立した会社となる模様。NSSKは、2014年にTPGキャピタルやメリルリンチ日本証券出身者が立ち上げた投資ファンド。買収金額は公表されていないが、数十億円規模と推測される。

DNS事業は株式会社DNSとしてファンド傘下で独立

本件のスキームを確認してみたい。株式会社ドーム内にこれまで存在していたDNS事業は、今回の会社分割(簡易吸収分割)によって株式会社DNSとして独立することになる。

株式会社ドームのDNS事業売却のスキーム図
DNS事業売却のスキーム図

この株式会社DNSは、ドーム内のDNS事業を譲り受ける受け皿として設立された新設法人で、この法人はNSSKが設立する。設立時にNSSK(傘下ファンド)よりDNS事業買収と運転資金を注入し、この法人がドームへDNS事業の買収資金を支払うスキームとなっている。

結果的にドームのDNS事業は、株式会社DNSとして独立することとなる。ドーム社のプレスリリースによると、株式会社DNSのオフィスはドーム内に維持され(事業部と似た/同じ環境で維持され)ドーム社の事業と連携を続けながら事業運営を行うとされ、株式会社DNSの本格稼働は来年3月までと余裕をもったスケジュールになっている。

おそらく、DNS事業の契約関係の整理(新設法人での再締結)やステークホルダーへの説明、人員の移籍や移管についてもここから同意をとっていく中で、当然ドームに残りたい従業員も出てくるため、実質的な事業移管にはまだ時間がかかる見込みだ。

ドームのDNS事業売却の狙いと同社の現在を考察する:本件は再建への執念か

ドーム社における本件の狙いを考察してみたい。最も強い狙いは財務基盤の強化にあると推測される。同社の前期決算(2019年12月期)を見ると、下記のようになっている。

株式会社ドーム 2019年12月期(第24期)決算公告
株式会社ドーム 2019年12月期(第24期)決算公告

売上高376億円、営業利益▲19億円、当期純利益▲22.9億円と厳しい決算となっており、BSに目を向けると総資産401億円に対して純資産38.2億円(自己資本比率9.5%)となっている。

同社の売上推移は、17/12期 459億円→18/12期 426億円→19/12期 376億円と、3期連続で減収となっており厳しい事業状況が想像できる。また19/12期の決算は営業利益時点で赤字になっており、特別損失など一時的な赤字ではなく、構造的な赤字体質に陥っている可能性が無視できない。

もし今期も減収を継続し、前期並み、もしくはそれ以上の赤字を計上するようなことがあれば、純資産がマイナスに転落、債務超過になってしまうため、同社に融資をしている銀行団の反応も硬化することが考えられる。更に言えば、シンジケートローンのコベナンツに抵触することなどがあれば、一気に資金繰り不安につながる可能性もある。

おそらく同社はこのような「待ったなし」の財務状況へのテコ入れ、そして同社の収益構造の抜本的な改革のために、DNS事業を売却し資金調達を目論んだというのが最大の狙いと考えられる。

BSを見る限り、これ以上の融資を行うと有利子負債比率が跳ね上がり借入過多に陥ってしまうこと(現在でも多い可能性は高い)、また抜本的な構造改革をしない限り赤字補填を銀行融資で行うだけで、その先に再成長の未来を見いだせないというのが実情だろう。

株式会社ドームが提供する事業のポジションとバリューチェーン
DNS事業は同社が提供するバリューチェーンの中では重要なポジションを占める
http://www.domecorp.com/service/performance.html

しかしながら(あくまで筆者の想像ではあるが)アンダーアーマー事業不振の反面DNSは同社の稼ぎ頭だった可能性も捨てきれず、しかしまとまった資金を調達するためには業績の良い事業を売却する必要もあり、アンダーアーマー事業からの撤退も容易ではない(売却も難しい)、稼ぎ頭の事業を売却することで再建の道筋は厳しくなる可能性もある、というような経営陣として難しい選択を行ったのではないかと思う。

業績が低迷し再建に入るタイミングでの「アルアル」な状況ではあるのだが、まともに価値が付き売却できる事業が「DNS事業」しかなかった、という可能性もある。プレスリリースでは「アンダーアーマー事業に集中する」としているが、同社としてはアンダーアーマー事業を「立て直すしか道が無い」というようにも見ることができる。

東京オリンピックを見据えた投資をしてきたスポーツメーカー、フィットネス事業者は多かったはずで、オリンピック開催1年延期を受けてその投資効果が1年流れただけでも資金効率は悪化する。そこに新型コロナウイルス感染拡大による消費活動の冷え込みが重なった。同社のように厳しい財務体質の改善を行いながら再成長のチャンスを狙っていた企業にとっては特に「不運」と言えなくもない状況ではあるが、再成長の道筋を見つけるしかない。

DNS事業は、同社にとってシナジーが高い事業だし、DNSの略は「Dome Nutrition System」とドームの社名からもとられている。NSSKがこのブランドを変更するのかは不明だが「DNS」というブランドに一定の価値と知名度があるのは事実だ。

本件は、アンダーアーマー事業の立て直しと、来年の東京オリンピックと新型コロナウイルス感染拡大の収束を受けて同社が業績を回復し、将来的にはNSSKから株式会社DNSを「買い戻す」ことも視野に入れたディールではないかとも考えている。やはりDNS事業が同社の提供する事業ポートフォリオやバリューチェーンにおける重要な役割を果たしているのは間違い無い。

ドーム社の経営陣にとっては正念場が続く。しかし、この厳しい状況において本件のような決断をすることは容易ではない。このディールには経営陣の執念を感じる。なんとかこの状況を切り抜け再成長の軌道に戻ることを願い、経営陣にエールを贈りたい。

フィットネス上場各社の4-6月業績出揃う、新型コロナの影響大きく業界総赤字の様相

3月期決算のフィットネス上場企業各社の第1四半期(2020年4月〜6月)の決算が出揃った。新型コロナウイルス感染拡大に端を発する環境変化によって3月通期の時点で今期は各社厳しい決算が予想されていたが、改めて出てきた数値について見ていきたい。

今回とりまとめたのは9社、解説に入る前に断っておきたいのはカーブス、24/7Workoutは3月期決算ではないため除外した。コナミはフィットネス該当セグメント数値、RIZAPグループについても連結のフィットネスセグメントの数値(RIZAP関連、RIZAP事業以外の数値も含まれる)、SDエンターテイメントはRIZAPグループ傘下企業となる。またRIZAPグループは2021年3月期からセグメントの対象事業を変更しており、RIZAPグループのフィットネス関連セグメントに前期まで含まれていたSDエンターテイメントは今期から外れている。

売上高は休業が大きく響き、各社前期比で約60%-70%減少

新型コロナの影響が最もわかりやすいのが売上高の減収比だろう。

フィットネス業界の3月決算上場各社 第1四半期の売上高の比較
各社IR資料よりBtF編集部が作成

図の通りではあるが、各社60%前後、コナミスポーツに至っては70%に近い水準、ティップネスを傘下に持つ日テレHD、メガロスを傘下に持つ野村不動産HDの該当セグメントの売上高減収比は70%を超えた。

また減収後の1Q決算では売上高でセントラルスポーツが首位(RIZAPは純粋なRIZAP関連売上高が分からないため一旦保留)水準となり、業界順位に変動が起きる結果となった。またアクトスもメガロスの売上を超える着地となっている。

各社細かい差はあるが、4月〜5月末までの約1.5ヶ月〜2ヶ月の休業が響いた結果となり、個社解説の記事でも触れているが会員減も各社起きているため、第2四半期以降にも暗い影が落ちる結果となっている。

ほぼ全社が赤字決算、フィットネス事業のビジネスモデル見直しが迫られる

損益に目を向けると更に厳しい状況となっている。

フィットネス業界の3月決算上場各社 第1四半期の利益の比較
各社IR資料よりBtF編集部が作成

休業によって、固定費や人件費等のコストが吸収できず、損益計算書上では売上総利益時点で赤字転落している企業も出てきた。また営業利益、最終利益ベースで見ると、二桁億円単位で赤字を計上する企業も多く、コロナ対策コストや固定資産の評価見直しで特別損失を計上する企業も目立った。

フィットネス事業のビジネスモデル上、このレベルの売上減が起きれば必然的な結果ではあるが、いわゆるブラックスワン的な環境変化に業界全体が著しく弱いことが改めて浮き彫りになった形だ。

緊急事態宣言発令後に各社こぞって初めた「オンラインフィットネス」だが、それが著しく貢献している様子はなく、第1四半期の決算短信にオンラインフィットネスの業績貢献についてポジティブに記載している企業は皆無に近かった。

フィットネス各社は、根本的なビジネスモデルの変化を改めて考えざるを得ない状況を突きつけられている。

なお、筆者はカーブスは直近の歴史において既存のフィットネス事業のビジネスモデルを再定義した企業だと考えているが、そのカーブスも第3四半期(2020年3月-5月)では約12億円の営業赤字となっている。ただし、カーブスについては決算説明会において「根本的にビジネスモデルを考え直す」旨を明確に示しており、同社の改革に対する意欲と今後の取り組みはフィットネス業界において新たなベンチマークに成り得るのではと期待している。

カーブスの全2,000店舗休業からフランチャイズモデルでの出店リスクを考える

株式会社カーブスホールディングス 公式サイト

4月16日に発表された緊急事態宣言の全国拡大を受け、「女性だけの30分健康体操教室 カーブス」を運営する株式会社カーブスホールディングスは、日本全国に展開する2,014店舗の休業を決めた。

同社は、すでに15都道府県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県、茨城県、 群馬県、福井県、石川県、愛知県、岐阜県、京都府、愛媛県)の1,075店舗を休業していたが、これに続き全店舗の休業に踏み切った。

4月10日に発表した「2020年8月期 第2四半期 決算説明資料」によると、2020年2月末時点での全2,014店舗のうち、直営店はわずか65店舗、その他1,949店舗はフランチャイズ店舗となる。

元々カーブスホールディングスは、東証1部に上場するコシダカホールディングスの子会社であったが、国内初のスピンアウト上場会社として2020年3月2日に東証1部に上場した。

カーブス業態の知名度の高さや、事業規模の大きさ、スピンアウトスキームによる上場など、かなりの注目を集めていたが、上場の翌日には3月8日〜3月15日の期間、国内全店舗の休業を発表していた。コロナウイルス感染拡大を受け、初動の速さと企業の姿勢を示した形だが、前回の休業から1ヶ月たった今回、2度目の全店休業を発表することとなった。

カーブスはフランチャイズ関連で売上の約9割を構成

株式会社カーブスホールディングス「2020年8月期 第2四半期 決算説明資料」

同社の業績をモニタリングする上で注意すべき部分はフランチャイズ店舗の存在だ。2020年2月末現在の国内全2,014店舗のうち、直営店はわずか65店舗、その他1,949店舗はフランチャイズ店舗という数字から分かるように、同社の売上の大半はフランチャイズ店舗からのロイヤリティ、加盟金、マシン機器販売等が収益のメインとなっている。

株式会社カーブスホールディングス「2020年8月期 第2四半期 決算説明資料」

上半期の売上高144億円の内、直営店舗の売上高は11億円(7.8%)、海外事業は2.5億円(1.7%)となっており、フランチャイズ絡みの売上高は90%近い構成比率と、フランチャイズモデルで成長した会社だ。

減収減益だけでは終わらない「見えないコスト」の可能性

全店休業中の月会費は、翌月以降の会費への繰越しや、プロテインなどのリカーリングモデルでの定期販売など、売上高が0になることは考えづらいが、売上の大半は減少することとなる。

しかし、より注意が必要なのは(BtFは現時点で同社のフランチャイズ契約の内容を確認できていないため推測の域となるが)こうした天災等によるフランチャイズ本部としての対応をどう考えるか、という点にある。

通常フランチャイズ契約に限らず一般的な基本取引契約など、発注側企業やフランチャイズ本部は天災等の不可抗力による損害の求償を受けない契約になっていることが多く、逆にフランチャイジー(加盟店舗側)は売上のミニマムキャップ(最低売上補償)等によって最低限のロイヤリティを本部に支払う契約になっていることも想定される。

今回は不可抗力による休業という見方が多いが、(あくまでフランチャイズ店舗に事前確認を行っていたとしても)最終的にはフランチャイザー(本部)が「休業を決定した」とも受け取れるため、休業期間のロイヤリティは支払い免除される可能性は高い(本部は収入の大部分を失う)。

フランチャイズ本部として加盟店へのケアを間違うと、将来に大きな影響を残す可能性も

例えば、赤字FC店舗を運営していた業績不振の加盟店は今回の休業で資金繰りの目処が立たず倒産する可能性も考えられる。フランチャイズ加盟企業が倒産することは、フランチャイズ本部・ブランドとしてはブランドや業態の信用を毀損することにつながるため、今後の新規店舗オープンに伴うフランチャイズ募集に大きな影響を与えることになりかねない。

コンビニエンスストアはフランチャイズ加盟企業の倒産や廃業が話題になることも多い(画像はイメージです)

こうした影響を回避するために、資金繰りが厳しくなったフランチャイズ店舗を直営店に切り替え(本部が店舗を買収)たり、融資等の支援を行う可能性も考えられる。

つまり今回の全店休業による売上減少から生じる損失だけではなく、フランチャイズ加盟店のケアに対する必要資金などの大きさによって、同社は今後の投資戦略を更に見直す必要もあり、逆にフランチャイズ店舗への補償の姿勢によっては、今後のフランチャイズ募集に大きな影を落とす可能性も生じる。

フィットネス業界に限らず全業種が大きな影響を受け、各社アフターコロナの時代に対する準備と足元の着実な対策が求められる難しい状況の中で、同社は業界内でも先駆けてコロナ対策を実施してきた。

3月の上場直後から厳しいトピックが続いているが、初動の速さは企業の姿勢を写していると筆者は考えている。同社のこれからの対応がフィットネス業界の中でも1つの指針になる可能性も高い。厳しい環境下だが同社にエールを送りたい。

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