レシピ動画アプリ「kurashiru(クラシル)」、女性向けメディア「TRILL(トリル)」を運営するdely株式会社(東京都品川区、代表 堀江裕介氏)が、オンラインフィットネスサービス「ONECLASS(ワンクラス)」をリリースしている。ONECLASSの「特定商取引法に基づく表記」ページの事業者名には「dely株式会社」と記載されている。

https://www.kurashiru.com/
本稿執筆時点の8月11日現在、同社コーポレートサイトにはONECLASSは掲載されておらず、ニュースリリースにも同サービスの記載は無い。オンラインフィットネス市場は、オンラインサービスプラットフォーム「MOSH」や、オンラインヨガ・フィットネスの「SOELU」、フィットネス音声ガイドアプリ「BeatFit」などベンチャー企業がしのぎを削っており、既に群雄割拠の様相だ。
delyが運営するONECLASSとは
ONECLASSはサイト上で受けたいレッスンを予約し、Zoomにて参加するオンラインフィットネスプラットフォーム。価格は1レッスン2,000円で販売されているが、月額4,980円を払うと全てのレッスンが受け放題となる。Zoomが利用できる端末であればスマートフォンでも利用が可能。
現在、月に60本を超えるレッスンが開催されており、ヨガやピラティス、自重トレーニングなどが提供されている。
同サービスのサイトに掲載されている開催予定のレッスンを見ると、基本は60分のレッスンがベースで「疲れリセット」「ヒップアップ・脚痩せ」「顔のむくみ解消」など目的別のレッスン名がついている。どれも「女性」のニーズが強く反映された内容に見える。

https://oneclass.jp/
しかし先述した通り、オンラインフィットネス市場は既に群雄割拠の様相で、同社は後発での参入となる。価格やレッスン内容にもそれほど差別化要素が大きくあるようにも見えないが、ONECLASSの勝ち筋はどこにあるのだろうか。
TRILLの女性ユーザーとのシナジーを確信か
ONECLASSはまだ同社ウェブサイトに掲載されていないプロダクトのため、現時点では「ステルス」で運営されているサービスという位置づけと推測され、未だ「事業検証・市場検証」の段階である可能性も高い。しかし同社は「ONECLASS」をクラシル、TRILLに続く第3の柱に育てる意向があるのではと推測している。

https://trilltrill.jp/articles/1429589
BtF編集部の調査によると、同社が運営する女性向けメディア「TRILL」上にて2020年5月頃から上記のようなオンラインレッスンの募集記事が増えているのが分かった。
TRILLで募集したユーザーは、同社が用意したSTORESの販売ページへ遷移しレッスンを購入する導線になっている。このSTORESアカウントの店舗名は同サービスと同じ「ONECLASS」で、掲載されているレッスンは今回紹介しているONECLASSのサービスサイトに掲載されているレッスンとほとんど同様のものとなる。

https://dely-online.stores.jp/
つまり、2020年5月には既にTRILL上で募集しレッスンがどの程度販売できるか、ユーザーがどの程度リピートするかといった「事業検証」が始まっており、一定の手応えを感じた可能性がある。
そこから月額4,980円のプランや、1レッスン2,000円といった価格設定をもってサービスサイトのリリースにつながっていると見られる。つまり一定の事業検証が終わり、ここから本格的にサービスを伸ばしていくフェーズと推測される。
クラシルは2,000万DL超、TRILLは月間利用者数2,000万を突破
2019年12月時点の同社プレスリリースによれば、レシピ動画アプリ「クラシル」は2,000万ダウンロードを突破、インスタグラムのフォロワー数は300万人超、女性比率は90%を超えている。女性向けメディア「TRILL」も好調で、2019年11月のプレスリリースによると月間利用者数(web・アプリ合算)が2,000万を突破している。

https://www.dely.jp/product
少し話は戻るがONECLASSで提供されているレッスンのほとんどが「女性」のニーズを強く反映したように見えると書いた整合性がここにある。
つまりオンラインフィットネス市場に後発で参入している「ONECLASS」だが、同社が運営している2大メディア(クラシルとTRILL)の巨大なトラフィックと会員数、そしてクラシル/TRILL共に高い「女性比率」、TRILLからの送客販売とのシナジー(事業検証)を踏まえた本サービスのローンチ、こうした要素を考えれば後発ながら十分勝ち筋があるように思える。
群雄割拠のオンラインフィットネス市場、これから更に熾烈な競争が起きそうだ。
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