オンラインのフィットネス業界誌

Twitter Facebook
2021年2月3日 分析と解説

コロナ長期化で戦略に精度 ルネサンスはM&Aでアウトドアフィットネスを強化

10都府県での緊急事態宣言の延長が決定された。ワクチンに関する報道も増えてきているがコロナ禍がいつまで続くのか見通し不明な状況が続く。新型コロナウイルス感染拡大の当初はフィットネス業界も政府方針への対応に追われ休館が相次いだ。それに伴い厳しい業績発表も続いたが足元は徐々に回復基調にも見える。コロナ禍における消費者マインドの変化の輪郭も徐々に見え始めており、オリジナリティのある戦略の再構築や事業領域の展開、提供サービスの改良が増えている。

コロナ禍の当初はフィットネス大手も含め「ほとんど」と言っても過言ではない数のフィットネスクラブ事業者が、盲目的にズームを使ったオンラインフィットネスを提供していた。しかし落ち込んだ本業収益をカバーするには遠く及ばず、またコロナ禍の長期化によって事業者側のマインドも「コロナが長引く前提でどう考えるか」といったものに変化してきている。

結果的に、これまで提供していた「本業」に変化を起こす、もしくは事業領域を広く取る、ずらすといったことで「ニューノーマル」への適応を確実なものにしようとする動きがフィットネス大手の施策でも明確になってきている。

ルネサンス、アウトドアフィットネス運営企業の株式取得で基本合意

フィットネス大手ルネサンスは、3日アウトドアフィットネスを展開する株式会社BEACH TOWNの発行済株式51.7%(31株)を取得する基本合意を締結したと発表した。取得時期は4月1日を予定している。

左からルネサンス代表取締役社長執行役員 岡本氏、BEACH TOWN代表取締役 黒野氏、ルネサンス代表取締役会長執行役員 斎藤氏
左からルネサンス代表取締役社長執行役員 岡本氏、BEACH TOWN代表取締役 黒野氏、ルネサンス代表取締役会長執行役員 斎藤氏

BEACH TOWN社は2008年にアウトドアフィットネスの第一人者である黒野 崇氏が創業、全国24ヶ所のアウトドアフィットネスクラブやパークPFI(2017 年の都市公園法改正により新たに設けられた、公園の魅力と利便性の向上を図るために、公園の整備 を行う民間の事業者を公募し選定する制度)をプロデュース、それらの施設を直営または運営受託で展開している。

BEACH TOWN社が運営するPARKERS TOKYO
BEACH TOWN社が運営するPARKERS TOKYO
BEACH TOWN社が運営するコミュニティパーク大津京
BEACH TOWN社が運営するコミュニティパーク大津京
BEACH TOWN社が運営するBLUE多摩川アウトドアフィットネスクラブ
BEACH TOWN社が運営するBLUE多摩川アウトドアフィットネスクラブ

BEACH TOWNとルネサンスはBEACH TOWN社創業の1年後 2009年には既に業務委託契約を締結し「ルネサンス アウトドアフィットネス」として一部のスポーツクラブで「ノルディックウォーキング」「ランニング」「パークヨガ」などのプログラムを実施していた他、地方創生事業でも連携していた。

コロナ禍において構造改革や多くの施策を打ち出しているルネサンス社は「来館に頼らない収益の早期確立」を発表しており、屋外や三密になりにくい施設で実施するアウトドアフィットネスは同社の戦略においても注力領域の1つになりうるものだ。( 参考記事:ルネサンス 非来店型の収益モデル確立に意欲、組織再編の狙いを考察する

実際にBEACH TOWN社の売上高は、18年5月期 2.2億円、19年5月期 2.7億円、20年5月期 3.1億円とコロナ禍においても拡大を続けている。ルネサンスは施設運営やマネジメントの支援を通じてBEACH TOWN社の成長を支え、非来館収益の新たな柱として、ニューノーマルにおけるフィットネス事業の新たな柱として確立を見込むものと推測される。

ルネサンスは地域健康推進部内にPPP(Public-Private Partnership)チームを立ち上げ、今後PFI事業を積極的に獲得しているとしている。そういった方向性においてもBEACH TOWN株式の取得と連携は大きな意味を持つだろう。

株式会社BEACH TOWN
http://beachtown.co.jp/
アウトドアフィットネス
https://outdoorfitness.jp/

メガロスはオンラインサービスの利用をベースにした新会員プランを導入

メガロスは、オンラインサービスの利用をベースに店舗利用も可能な新会員プラン「オンライン+1(プラスワン)会員」を2月1日から導入する。

メガロスが新しく提供する会員プラン「オンライン+1(プラスワン)」会員の内容
野村不動産ライフ&スポーツ株式会社プレスリリース

「オンライン+1会員」は、オンラインフィットネスサービス「LEAN BODY」との提携でメガロスが会員へ提供する「メガロスLEAN BODY」の利用と、月1回だけ入会登録した店舗の利用が可能なプランとなっている。提供価格は月額2,990円(税抜)となっている。

「メガロスLEAN BODY」は、人気のオンラインフィットネス「LEAN BODY」のコンテンツ400本以上に加え、月200本以上のメガロスライブレッスンを受けることができるサービス。

オフライン(店舗)で提供していたサービスをオンラインに持ち込んだ際に課題となるのが消費者の金銭感覚の落差だ。店舗で行われるセッション単価に8,000円を支払っていても、オンラインでのセッション提供には「1回1,000円以下が妥当」と口にする消費者も少なくない。

「オンライン+1会員」の狙いには、依然として生活実態はオンラインフィットネスが主流になること、それでも「たまには外に出たい、思いっきり体を動かしたい」というマインドが反映されているのではないだろうか。また2,990円という低価格設定もオンラインとオフラインの金銭価格落差のギャップをうまく捉えた内容になっている。

メガロス
https://www.megalos.co.jp/