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2021年1月15日 分析と解説

24/7Workout 2020年11月期 通期決算解説:9-11月は黒字化

24/7Workoutを運営する株式会社トゥエンティーフォーセブンは、2020年11月期の通期決算を発表した。同社は2019年11月の東証マザーズ上場直後から厳しい業績が続き、その後のコロナ禍と苦しい状況が続いている。

2020年11月期 通期決算:15億円の赤字決算ながら店舗は純増

24/7Workoutを運営する株式会社トゥエンティーフォーセブンの業績推移グラフ
開示資料からBEHIND THE FITNESS編集部作成

2020年11月期は売上高5,700百万円(前期比▲25.9%)営業利益▲1,013百万円(前期は991百万円の黒字)経常利益▲984百万円(前期は971百万円の黒字)当期純利益▲1,500百万円(前期は583百万円の黒字)と減収減益決算となった。

同社はコロナ禍に限らず第1四半期(2019年12月 – )から広告コントロールの失敗を理由に厳しい決算が続いており(参考記事:24/7Workout 20/11期 第3四半期決算、依然として厳しい決算続く)第4四半期(9-11月)は業績回復したものの3四半期分の赤字を吸収できず、通期赤字の決算となった。

24/7Workoutを運営する株式会社トゥエンティーフォーセブンの店舗数推移グラフ
開示資料からBEHIND THE FITNESS編集部作成

一方で通期末の店舗数では24/7Workoutは2店舗、24/7Englishは4店舗と増加し合計81店舗の体制となった。出店形態の内訳は直営店77店舗(前事業年度比4店舗増)フランチャイズ店舗4店舗(前事業年度比2店舗減)となっている。コロナ禍においては、経営効率化や採算を勘案し両ブランドで店舗の閉鎖・統合を行っていたが結果的には純増した。

第4四半期(9-11月)営業利益は黒字化:全ては広告コントロール次第?

24/7Workoutを運営する株式会社トゥエンティーフォーセブンの四半期業績推移グラフ
開示資料からBEHIND THE FITNESS編集部作成

2020年9-11月の第4四半期では収益が悪化した店舗の評価額を見直した結果133百万円の減損を行い特別損失を計上したため、当期純利益では▲92百万円の赤字となっているが、営業利益ベースでは14百万円の黒字に復帰した。同社は第3四半期決算の発表時に「パーソナルトレーニング事業の需要は概ね回復した」と開示していたが、その開示通り売上も前四半期と同水準まで回復している。

販管費並びに原価の四半期推移を見ると、セッションなど発生した売上に応じて計上される原価のコントロールは基本的にコントロールされている反面、販管費率に関しては赤字転落した第1四半期から急激に悪化している。

24/7Workoutを運営する株式会社トゥエンティーフォーセブンのコストコントロール説明グラフ
開示資料からBEHIND THE FITNESS編集部作成

同社が開示した今期業績不振の理由は「集客のメインとなるインターネット広告での入札状況など競合激化により新規会員の獲得が想定を約20%下回ったこと、会員獲得が計画通りに進捗する前提で採用した人件費などの固定費が利益を圧迫した」という内容であった。

同社販管費の3大セグメントは、地代家賃・人件費・広告宣伝費の3つ。そこから販管費マネジメントの内容を推測すると、店舗の統合や閉鎖並びに家賃の減額交渉を期中で実施している反面、結果として店舗は純増しており地代家賃の圧縮効果のみで黒字化したとは考えにくい。次に人件費だが同社は今期「雇用調整助成金」収入を約76百万円計上しており人件費圧縮を大幅には行っていない。

結果的に改善の余地として残るのは広告宣伝費となる。つまり第4四半期の黒字化の要因は広告効率(CPA単価をコントロール)の改善が大きいだろう。赤字の要因であった広告効率が改善することで、増収効果を生み出し販管費コントロールのキードライバーをうまく改善できたことが黒字化最大の要因と想像される。

なお来期2021年11月期の業績予想については、合理的な業績予想の算出が困難であるとして未定としている。

低糖質食品事業を本格化、24/7Workoutの会員以外にも提供

同社は2020年2月に低糖質食品をコンセプトとした新規事業部門「/7deli事業部(スラッシュセブンデリ事業部)」の新設を決議していた。今期はECサイト「24/7DELI&SWEETS」をオープンし商品ラインナップの拡充などに取り組んだ。

株式会社トゥエンティーフォーセブンが運営する低糖質食品EC・通販サイト「24/7DELI&SWEETS」のウェブサイト
24/7DELI&SWEETSウェブサイト

同サービスでは低糖質のデリ、スイーツ、パン、おにぎりの4種類の食品を販売しており、24/7Workoutの会員以外にも提供する。24/7Workoutの潜在顧客を獲得する意味合いもあると見られる他、トレーニングプログラム実施中の会員の満足度向上やトレーニング効果の向上など既存事業とのシナジーも感じられる取り組みとなっている。

株式会社トゥエンティーフォーセブン
https://247group.co.jp/