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2020年8月5日 分析と解説

人気の美容サブスクアプリ「Salt.(ソルト)」フィットネスサービスも提供

https://apps.apple.com/jp/app/id1509603245

美容サロン通い放題アプリ「Salt.(ソルト)」が人気

2020年6月にサービスをスタートした美容サロン通い放題アプリ「Salt.(ソルト)」が人気だ。同サービスのTwitterアカウントを見ると、フォロワーはサービス開始約2ヶ月で既に4,000人弱も存在し、タイムラインはSalt.会員の声で溢れている。

Salt.は、毎月定額の利用料を支払うことで、Salt.提携の美容サロンに通い放題になるサービスだ。料金は平日プラン、週末プランなどコースによって別れ、月額50,000円〜140,000円まで複数コースが用意されている。

提携の美容サロンはエステ、リラクゼーションサロン、フィットネスジムなど「美容」のための施設となっており、既に200以上のサロンを掲載中だ。

Salt.定額料金の一例
https://salt.byk.tokyo/plan/

ホットペッパービューティーアカデミーが実施した調査によれば、20代〜60代女性が使う1ヶ月の美容代の平均は約7,000円とのことだが、美容医療の領域になると単価は跳ね上がる。例えば、医療脱毛の施術トータル費用は約17万円、アンチエイジングや、容姿(顔・体)を整える施術では約15万円〜18万円というデータがでている。

Salt.の月額料金は一見高額とも思えるが、これまで女性がかけてきた高額な「美容代」を考えれば、毎月定額で支払うことで遠慮せず美容サロンに通うことができるメリットの方が大きいということだろう。

更に、毎月の美容にかける予算を考えると「気になっているけど、安くない金額だし、イメージと違うと嫌だから行けていないお店」「気になっているけど、一回行くと複数回コースの契約をさせられそうなお店」がSalt.の提携店だった場合は気にせず利用ができるなど、会員は精神的なメリットや美容の選択肢を広げるといった様々なメリットを享受できる。

Salt.と提携する店にもメリット有り

Salt.の会員が「行ったことの無いお店」に通ったり、Salt.の会員になったことでこれまで以上に美容に積極的になることで、提携店は新規の会員を獲得することができる。

美容サロンに限らず、パーソナルトレーニングジムなど高単価のサービスを提供している業態にとっては、競合が続々と現れる現在の市場において、新規会員獲得のための広告宣伝費は高まる一方だ。

株式会社トゥエンティーフォーセブン
成長可能性に関する説明資料

大手フィットネスジムの広告宣伝費比率を見ると平均20〜30%水準の企業も多く、収益性は広告の効率に依存しているといっても過言ではない。24/7Workoutを運営する株式会社トゥエンティーフォーセブンが開示した上場時の資料を見ても、広告宣伝費比率のコントロールに重きを置いているのが分かる。

月額でサービスを提供しているフィットネスクラブ・ジムにとっては、会員の継続期間が短いと、広告宣伝費を吸収できないといったことも起きるためトレーニングサービスとは別に会員とのコミュニケーションや関係性構築を行い「継続してもらう」ことに重きを置いているジムも多い。

Salt.の会員の場合、Salt.側で継続して月額会費を支払っているため、通ったサロンやジムのサービスが気に入った場合は継続してくれる可能性は高い。もちろん「通い放題」といった特性上、利用する施設のスイッチコストが低いという側面も否めないが、Salt.経由での新規会員の獲得数の母数が大きくなれば事業者側もメリットを享受できる可能性は高いと筆者は見ている。

Salt.に女性専用キックボクシングジム「ミットネス」が参加

女性専用キックボクシングジム「ミットネス」は全国5店舗を展開、b-monsterと共に女性に人気の暗闇フィットネス業態だ。これまでもフィットネスジム、パーソナルトレーニングジムの掲載はあったが、全国に店舗を有しているフィットネスチェーンがSalt.に掲載されるのは初となる。

8月5日時点で、ミットネスを含めフィットネスカテゴリの掲載件数は10件とまだ少ないが、美容というカテゴリにフィットネスは欠かせない一部だ。

BEHIND THE FITNESS編集部作成

女性専用のパーソナルトレーニングジムチェーンも増えており、その中にはエステを併設しているジムも少なくない。Salt.のように男性の目線では気付きにくい「女性」の強いニーズを受けたサービスは、新たなパートナーの候補となるだろう。

最近は様々なジムを横断して利用できるサービスも複数ローンチされており市場は盛り上がっているが、ビジネスモデル成立に対しては懐疑的な目が向けられていることも事実だ。提携するジムの中で低価格のフィットネスクラブと、高価格帯のパーソナルジムの提供単価の差が埋められない、横断サービスの単価が低いがゆえにジム側へのコミッションが低い、サービス提供側の収益性が悪いといったポイントがある。

Salt.はその点「美容」という元々高単価のサービスを対象としており、カテゴリも「パーソナルトレーニング」と表記してあるとおり高単価のフィットネスサービスにフォーカスしていることが分かる。プロダクトマーケットフィットの観点でも期待の持てるサービスだ。

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