オンラインのフィットネス業界誌

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2020年9月9日 分析と解説

主要フィットネスジムSNSフォロワー/登録者数ランキング、知名度の高い2企業が上位独占

Photo by Sara Kurfeß on Unsplash

フィットネス業界における重要な集客ツールとしてSNSがある。必ずしもフォロワーや登録者数が集客に直結するわけではないが、継続的にコンテンツに触れてくれることで来店の動機につながることも多い。

最近は、中小規模の新興ジムがSNSマーケティングに注力していることもあり、各社様々な取り組みをしている。そこで主要フィットネスクラブ・ジムの「公式ジム」のフォロワー/登録者を媒体別(Facebook、Instagram、Twitter、YouTube)に比較しランキングした。

取り組み内容や業態、顧客層によって特徴が見えてくるかもしれない。今後のSNS運用、SNSマーケティングの参考にしていただきたい。

なお、計測は2020年9月8日の日中に行い、サブアカウントや店舗アカウント、イベントアカウントはカウントしていない。ジムブランドの公式アカウントがなく店舗アカウントのみの場合や、そもそもアカウントが見つからない、公式アカウントか判断がつかない場合は「NA」と記載している。

Facebook部門:大手ルネサンスが健闘も首位はライザップ

日本の主要フィットネスクラブ・ジムのフェイスブック公式アカウントフォロワーランキング

Facebook、Instagram、Twitter、YouTubeの4媒体の中で、最もアカウントの設置率が高いのがFacebookだった。ページの「いいね」数ではなく「フォロワー」数を記録している。

ライザップに関しては、基本的に全媒体においてフォロワー/登録者が多く、高いブランド認知力を作り上げたマーケティングによって成長したブランドとして圧倒的だった。

逆にコナミ、セントラル、ルネサンスなど業界トップ3企業は本稿では影が薄く、Facebookにおいてルネサンスが健闘し2位にポジションをとっている。3位はホットヨガスタジオLAVA。女性会員が多いため、インスタグラムで強さを発揮すると思いきや、Facebookでも強さを見せた。

インスタグラム部門:女性会員の多いLAVAが首位も、24/7Workoutが実は影の覇者

日本の主要フィットネスクラブ・ジムのインスタグラム公式アカウントフォロワーランキング

最近はYouTubeと並び各社注力していると思われるインスタグラム、フォロワー数首位は約5万人のフォロワーを抱えるLAVAとなった。やはり女性会員と相性が良いのかフォロワーが多く、投稿に対するエンゲージメントも比較的高水準にあると言える。

2位はゴールジムで、会員の属性やコアなファンの多さを感じる結果となった。ゴールドジムはFacebookやTwitterでも高い順位につけており、ゴールドジムファンの熱量を感じる内容になっている。

一方で、インスタグラムは最も「店舗アカウント」や「イベントアカウント」「集客用コンテンツアカウント」が多いSNSでもあった。各社複数アカウントを保有していることが多く、その中でも特筆すべきなのは24/7Workoutだ。

24/7Workoutが運営する「247dieter」アカウント画面のキャプチャ画像
24/7Workoutが運営する「247dieter」アカウント

24/7Workoutは公式アカウントのフォロワーこそ約8,000人で7位となっているが、集客用コンテンツアカウント「247dieter」のフォロワー数は44万人を超えており、影の覇者となっている。

このアカウントでは主にダイエットの豆知識や、自宅でできるトレーニング、ダイエット食レシピなどを発信、パーソナルトレーニング手前の「ダイエット」に興味のあるユーザーをプールすることに成功している。いわゆる「集客」としてのインスタグラム活用で最もユーザー数を獲得している成功事例といえる。

Twitter部門:注力するフィットネスクラブ・ジムが少ないSNSの中で、ライザップが安定的な強さを見せる

日本の主要フィットネスクラブ・ジムのTwitter公式アカウントフォロワーランキング

SNS4媒体の中で、最もアカウント所有率が低いのがTwitterだった。その中でもやはりライザップ、LAVA、ゴールドジムの3社が強さを見せ上位を独占した。

中小規模のフィットネスクラブ・ジムの立場で見れば、Twitter上は大手と戦える(大手の投稿のシェアが少ない)市場とも言えるため、注力しても良いのではないだろうか。

YouTube部門:各社着々と参入し登録者を伸ばす、カーブスが3位にランクイン

日本の主要フィットネスクラブ・ジムのYouTube公式アカウント登録者ランキング

YouTubeはYouTuberの出現も含め媒体自体が成長している。フィットネス各社も開設したチャンネルの登録者を伸ばしている。おそらく現時点よりさらに伸びシロがありそうだ。

ここでもライザップとLAVAが強さを見せているが、3位にカーブスがランクインしている。カーブスのYouTubeアカウントに投稿された動画を見ていると、当初は広告コンテンツに近い動画が多かったが、直近はホームトレーニング動画をアップロードしており、再生数も伸びている。

新型コロナウイルス感染拡大による休業中に、会員に対してトレーニング方法を伝える方法として、特にカーブスの場合高齢者の会員が多いため、動画は伝わりやすい手段だと言える。

まとめ:ライザップとLAVAが全媒体で3位以内にランクイン

見てきたように、ライザップとLAVAが全ての媒体で3位以内にランクインし、そしてゴールドジムの強さが目立った。しかし、フィットネスクラブ・ジム各社にとって、SNSアカウントの活用目的とコンテンツの方向性、伸びシロはまだあるように思われる。

イギリス大手ジムPureGymのインスタグラムアカウントのキャプチャ画面
PureGymのインスタグラムアカウント
https://www.instagram.com/puregymofficial/?hl=ja

例えば、イギリスで急成長中の低価格ジムチェーン「PureGym」のインスタグラムアカウントのフォロワーは15.5万人だ。ヨーロッパ全土に対して会員を獲得しているジムとはいえ、1位のLAVA4.9万人の3倍以上だ。

しかし、24/7Workoutが運営している「247dieter」44万フォロワーという成功事例もある。アカウントの運営目的が、PRなのか、集客なのか、ブランディングなのか、啓蒙なのか、コンセプトを明確にし、それにあった高品質なコンテンツに「投資」を徹底して行うことが必要だ。