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2021年1月9日 分析と解説

カーブスHD 20年9-11月 決算解説:減収減益も会員は増加し事業実態は復調傾向

女性だけの30分フィットネス「カーブス」を全国約2,000店舗運営する株式会社カーブスホールディングスは、2021年8月期 第1四半期(2020年9月-11月)決算を発表した。

売上高 5,719百万円(前期比▲22.0%)営業利益 ▲10百万円(前期は1,603百万円の黒字)経常利益 ▲103百万円(前期は1,592百万円の黒字)当期純利益 ▲143百万円(前期は1,099百万円の黒字)と減収減益となった。依然としてコロナ禍において影響大きく、四半期決算は減収減益・赤字着地となったが業況を読むと実態は復調傾向にあることが分かる。

攻めの取り組みが奏功し会員数が増加、店舗数は純減もFC加盟店支援を継続

同社はコロナ禍において初めて「休会制度」を導入し会員の退会抑止に努めていたが、それでも影響は大きく実質会員(休会制度を利用していない会員)は2020年2月・3月の2ヶ月で約20万人減少している。(該当記事:カーブス新規入会は昨対10%、最新決算で開示されたコロナショックの内容を読み解く

女性だけの30分フィットネス「カーブス」の会員数推移
カーブスHDの開示資料からBEHIND THE FITNESS編集部作成

9−11月は攻めの施策を実施、具体的にはテレビCMを含むマーケティングを強化、新規入会キャンペーン・休会復帰キャンペーンを実施した結果、休会を除く実質会員は8.8万人純増し68.9万人に回復した。

店舗数は予定どおりコロナの影響が大きい不採算店舗(予定では100店舗)の統廃合を進めた結果、直営店は5店舗増加し75店舗、FC(フランチャイズ)店舗は25店舗減少し1,925店舗、店舗合計は純減20店舗で2,000店舗となった。店舗数が純減する一方で閉店店舗の実質会員の65%以上は近隣店舗へ移籍しカーブスの利用を継続しており、影響の抑止効果は限定的となっている。また新規事業の「メンズ・カーブス」は10月に新店舗を出店し6店舗となっている。

カーブス店舗の95%以上はフランチャイズ店舗だ。FC本部(カーブスHD)にとってFC加盟店(運営企業)の資金繰りが悪化し閉店してしまうことは最大のリスクだ。同社は前四半期(6-8月)の3ヶ月で既に3.4億円の経営支援金としてFC加盟店支援を実施しており、本四半期(9-11月)も取り組みを継続している。

広告分担金の仕組みを変更しFC加盟支援をテコ入れ、FC本部としての売上減少幅は限定的に

当四半期ではFC加盟店から徴収するロイヤリティの内容にもテコ入れを行っている。今回テコ入れしたのは「広告分担金」。広告分担金とは「カーブスの広告をFC本部・FC加盟店全員で負担しましょう」という意味合いで、月額○万円といった形で徴収されるロイヤリティの一種、FC本部にとっては比較的スタンダードな収益源の1つだ。

カーブスのFC加盟店が負担する広告分担金はこれまで、FC加盟店から毎月一定額を徴収した上でFC本部が一元的に広告投資を行い、もしこの徴収額を超過して投資した広告費の分はFC加盟企業から「追加徴収」をおこなっていた。この「追加徴収」を第1四半期から撤廃した。この取組は、FC加盟店にとって広告分担金が一定になり資金負担が減少すると推測され、FC本部にとってはFC加盟店支援の一貫とも言える。

またカーブスHDはコロナ禍において新しいビジネスモデルの構築や新規事業へも意欲を高めているため、既存事業(カーブス事業)以外に対する広告宣伝投資を今後増やしていく上で、前さばきとしてのレギュレーション変更であるとも推測される。

カーブスHDの売上高内訳
カーブスHD 2020年8月期 決算補足説明資料

なお同社は広告分担金の徴収方針(契約内容)変更によって会計処理を変更している。これまで広告分担金は売上高に計上されていたが(前期20/8期の広告分担金売上高は1,251百万円)当四半期から売上計上を廃止、広告の超過使用分は販管費に計上することとなった。

当四半期の売上高 5,719百万円(前期比▲22.0%)のうち広告分担金の未計上による売上減少比率は▲9.2%で、本四半期の実質的な売上高減少比率は▲12.8%となる。FC本部としての減収比率は冒頭に述べた通り、攻めの施策効果によって▲10%台とコロナ禍において限定的となっている。

会員数増など事業実態は上向くも着地予想は据置き

休眠会員の復帰や新規入会の増加によって、事業実態は復調傾向にあるが業績予想の修正は行っていない。2度めの非常事態宣言の発令によって市場環境は依然として不透明であり予想は立てにくい環境にある。

https://pdf.irpocket.com/C7085/HFxQ/Y1DW/nVyF.pdf

カーブスの2020年2月末会員数83万人は8月末に60万人まで減少、11月末で68.9万人となっているが、2021年8月末の会員予想は66万人、店舗数は80店舗純減の1,904店舗と予想を据え置いている。通期業績の着地予想は売上高235億円、営業利益10億円、経常利益9.4億円、当期純利益6.1億円の黒字予想。

株式会社カーブスホールディングス
https://www.curvesholdings.co.jp/