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2021年5月27日 業界ニュース

【全文掲載】フィットネス業界団体FIAが小池都知事へ要望書提出

Photo by Martin Sanchez on Unsplash

国内の主要な大手フィットネス事業者が加盟するフィットネス業界団体である日本フィットネス産業協会(FIA)は、5月26日に東京都知事へ要望書を提出した。要望書の基本的な内容は休業要請の解除を求める内容と、質問事項2点となっている。休業要請の解除を求める根拠として以下2点を挙げている。

根拠1:フィットネスクラブは広域での人の流れを増加させる「商業施設」「遊興施設」に該当せず、かつ生活必需サービスである。根拠として、FIA会員企業で1,000㎡超施設が抱える会員の約30-35%しか1日に施設を利用しておらず、さらに10時-23時で利用が分散するためとしている。また高齢者の健康維持においては生活必需サービスであるとの主張になっている。

根拠2:感染予防ガイドラインの策定と遵守、罹患者の来館データの実例。FIAは感染予防対応ガイドラインを策定しており、FIA加盟のフィットネスクラブは遵守している。2020年6月以降のデータとして、FIA加盟フィットネスクラブでの新型コロナウイルス罹患者(施設利用の数日後に発症した会員)の来館報告件数は303件、要観察対象になった案件数と対象人数21件となっているが、そのほとんどがガイドラインの遵守により「濃厚接触者」となっていない点、FIA加盟企業施設内でのクラスター認定は0件となっている。

ガイドライン策定/施行以降はフィットネス関連施設からは感染拡大が起きておらず、FIA加盟企業の2020年度延べ施設利用者は約8,400万人という母数の大きさを考えると問題ないとの認識という主張だ。

上記に加え、緊急事態宣言に伴う休業要請が継続される場合において、質問事項を2点記載している。

質問1:休業要請の解除を求める根拠1に加えイベント開催要件との対比の説明を求めるもの。現在、イベント開催は人流の明確な発生が認められる状況でありがなら施設収容率50%、最大収容人数5,000名という条件下で開始が認められているが、イベント開催よりもフィットネス関連施設の方が人流を発生させていることの裏付けと説明を求めている。

質問2:休業要請に伴う協力金の内容について。現在の協力金は各社事業への影響や事業特性に鑑みると補填要素にはなっておらず、今後もし休業要請が延長される場合、事業特性に配慮した補填内容への見直しは行われるのか否かというものだ。

要望書の全文を下記に転載する。段落等はBTF編集部にて閲覧しやすいように修正したが要望書のテキストは一切修正していない。

東京都知事への要望書全文

東京都知事小池百合子様

令和3年5月26日
(一社)日本フィットネス産業協会
会長 吉田正昭

新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等延長に於けるフィットネスクラブ等健康増進施設への対応についての要望書

東京都に於ける新型コロナウイルス感染症拡大予防対策に関しまして厳しい環境下、ご尽力賜り心より感謝申し上げます。

新型コロナ感染症拡大の抑止に於きましては何よりも人流の抑制が求められることについて、フィットネス産業全体としても共通の理解をしております。第三次緊急事態宣言による、1000㎡超の大型商業施設への休業要請を受けて、現在東京都所在の(一社)日本フィットネス産業協会(以下、FIA)加盟のフィットネスクラブにつきましては、5月12日以降各社休業しております。

緊急事態宣言が状況によって6月1日以降も延長されることが政府・東京都によって検討されていることを受け、多くの会員様及び事業者から東京都に於ける休業要請の解除を求める声が日々多く寄せられております。今回、以下にお示しさせて頂きます理由により、東京都での緊急事態宣言再延長に伴う、フィットネスクラブ等健康増進施設に対する休業要請は是非とも解除頂く事を強く要望致します。

——
フィットネスクラブ等健康増進施設は、以下に示す理由により人流招来に繋がる不要不急の“商業施設”或いは“遊興施設”には該当せず生活必需サービスと理解しております。
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フィットネス関連施設が人流創出を招来することには起因しないと判断する理由

① フィットネスクラブ会員は住居地、通勤場所から施設に向かう為、広域での人流増加には該当しないと考えます。
② 1日の来館者数は時間帯別に見ても多くなく、人流の拡大には至らないと考えます。
(例:都内クラブA(1,000㎡超):会員数2,000人/1日当たり平均利用人数700名(35%))
(例:都内クラブB(1,000㎡超):会員数3,200人/1日当たり平均利用人数960名(30%))
*更に営業時間10:00~23:00で分散

フィットネス等健康増進施設の休業が深刻な健康二次被害・フレイル問題に繋がる

昨年来の度重なる休業要請と営業時間短縮要請により、運動習慣のある方が運動機会を喪失する事による健康二次被害の拡大、また高齢者に於けるフレイル問題の顕在化や、人との関わりの場を失うことによる社会的孤立が更に進行しています。この事は既にデータでも示されています。こうした健康被害抑制のためにも、フィットネス等健康増進施設はエッセンシャルな機能を担う産業であり、不要不急に該当する施設ではないと理解しています。

理解の拠り所とするエビデンスの一部『健康二次被害防止コンソーシアム』が示す学術的根拠
https://kenko-nijihigai.com/?page_id=166

FIA加盟のフィットネスクラブに於いては、FIAが策定した厳格な感染予防対応ガイドラインを厳守し、安心・安全な営業を推進しています。

(参考)FIA加盟のフィットネスクラブに於ける昨年6月の緊急事態宣言解除以降の新型コロナウイルス罹患者の施設利用状況は以下の通りとなります。(令和3年5月21日現在)

・新型コロナウイルス罹患者(利用数日後発症)来館の報告件数/303件
・要観察対象になった案件数とその対象者人数者数/21件
 ※ガイドライン遵守により濃厚接触者にはほぼ該当していません。
・FIA加盟企業施設内での感染(クラスター)認定がなされた件数/0件
 ※業界ガイドラインに則したクラブ運営が再開されて以降、フィットネス関連施設からの感染拡大は起きておりません。
  ※FIA加盟企業のクラブにおいて2020年度延べで約8,400万人の方が利用されています。

以上の点から休業要請の解除を強く要望致します。

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緊急事態宣言延長に伴い休業要請が継続される場合につきましては、以下の2点について回答を求めます。(休業要請解除の場合は不要です)
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緊急事態宣言延長に伴う休業要請の継続に於ける業種別対応について回答を求めます

現在、イベントの開催に対しては人流の明確な発生が認められる状況にありながら、収容率50%、最大収容人数5,000名という条件下で開始が認められています。休業要請の狙いが人流の抑制であるという観点から、イベント開催規模に上記に示したフィットネスクラブの来店者規模や来場者特性を対比した場合、イベント開催の実態よりもフィットネス関連施設の方が人流をより発生させるということの説明を裏付ける根拠をお示しください。

休業要請に伴う協力金支払いの仕組みについての確認

2020年度の各社の決算発表をみても、殆どの企業は大幅な赤字決算となり、経営への圧迫が今日も続いています。休業要請に対する協力金の仕組みは見直されましたが、休業により収益の核である会費減収による影響に対しては程遠い協力金であり、私どもフィットネス産業の事業特性を考えた場合、補填要素にはなっておりません。仮に休業要請が延長されるに際しては、事業特性に配慮された補填規模・及び施策が見直されるのであればお示しください。

*回答依頼の2点は会員様・事業者から多くの声を頂いておりますが、現状においては根拠を示す説明等がないため充分な回答が出来ない状態です。

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最後に
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東京オリンピックの開催を含め、業界としては国民の健康づくりの一翼を担い高齢化社会においても日本経済が発展する為の健康な人材づくり(高齢者の定年延長等への対応含む)に貢献して参ります。現在の施設規模(1000㎡以上・以下)という括りだけの包括的なご判断だけではなく生活必需的な事業につきましては別途検討して頂き休業要請解除のご判断を賜りたく存じます。何卒、宜しくお願い申し上げます。

以上