パーソナルトレーニングジム業態の出現以降、パーソナルトレーナー採用ニーズが高まり続けている。「FITNESS SALON(フィットネスサロン)」もそうした市場背景を受け生まれたパーソナルトレーナー求人サイトの1つだ。
2019年12月にスタートしたFITNESS SALONは、元々フィットネス業態全般の求人サイトとしてスタートしたが、パーソナルトレーニング業界からのニーズの強さを受け、パーソナルトレーナーの採用に特化する形で2020年6月に生まれ変わった。
現在は数十社のフィットネスクラブ/パーソナルトレーニングジムが利用しており着実に成長を遂げている。フィットネス業界からは「質の高い求職者が多く応募も多い」と評判の声が増えており本稿ではその秘訣に迫る。
連続起業家が考えるフィットネス業界の課題:FITNESS SALON 新田社長インタビュー
FITNESS SALON運営会社のムジント社の代表で連続起業家でもある新田社長にサービスを開始した経緯とサービスを通じてフィットネス業界の何を変えたいと考えているのか聞いた。
―― 新田社長は元々、医学部受験予備校情報ポータルサイト「医学部予備校ガイド」を業界トップのサイトに成長させて、上場企業へ売却を成功させています。そこからフィットネスの求人に至った経緯はどのようなものだったのでしょう。
FITNESS SALONを運営している株式会社ムジントに在籍しているメンバーは全員「医学部予備校ガイド」を運営していた株式会社えふななの元メンバーなんですが、その中の1人、幸田(幸田 倫史:現えふななCWO)がえふなな時代からずっと「フィットネスのサービスを何かやりたい」と熱く言い続けていたんです。
幸田はフリーランスのフィットネスインストラクターをやっていて、国内のエアロビクスコンテストで入賞したこともあるので業界の課題感を感じていたんだと思います。当時は「えふななで子会社作って何かやろうか」なんて話していたんですが、会社を売却することになりまして。売却後に何をやろうかと話している中で幸田の想いを形にしようということになって生まれたのがFITNESS SALONです。
―― メンバーのアイデアから生まれたサービスって良いですね。でもフィットネスのサービスというと色々ありますが、始めから求人サイトに決まっていたんでしょうか。
決まっていなかったですね。いざ「何をやる」となった時にフィットネス業界の課題って何かという話を幸田含めメンバーと話している中で求人サイトに決まっていったという流れです。
―― どんな議論がかわされたのでしょう。
一言でいうと「子供のために未来のあるサービスにしたい」「フィットネス業界をもっと活性化させたい」という話が多かったですね。
幸田が話していたフィットネス業界で働くインストラクターの課題は、そもそも収入が低いこと、そして体が資本であるがために怪我をすると収入が途絶えてしまったり安定しないことが多い。安定しないので家庭を持つタイミングで異業界に転職する人が多く、結果的に30歳くらいで辞めていく方が多いと。
フィットネス業界で働いている人は「フィットネスが好きな人」が多いのに、生活や将来のために諦めてしまう悲しい課題がありました。これは本当にもったいないことです。だからフィットネス業界に長くいられるサービスを作りたいということになったんです。
―― フリーのインストラクターとして第一線で活躍されている方が当事者として感じられている率直な課題感ですね。
そうですね。あとはスポーツ/フィットネス教育の低年齢化が進んでいる側面もあります。ダンスやスポーツなど子供の頃からフィットネスに触れ合うことが増えていますよね。
そう考えるとメディアで定期的に話題になる「子供のなりたい職業ランキング」に「フィットネスインストラクター」が入ってもいいと思うんです。でも現状は入っていない。私はランクインする価値のある職業だと思っているのですが。
―― ランクインしない理由はどうお考えなのでしょうか。
1つは憧れるスターがいないということだと思います。サッカーでも野球でもユーチューバーでも子供が認識できるスターが存在しますが、フィットネス業界にはいない。この理由に関連するのですが2つ目は「長く働けていない」という理由です。長く活躍できないとスターが生まれる可能性も少ない。
スポーツ選手は競技人生が短い代わりに報酬が高いという特徴があります。一方フィットネス業界はどうでしょうか。報酬は低く、長く働けない。これが大きな問題なんです。もちろん、ファンビジネスではないので、一概に比較できませんが、昔カリスマ美容師が流行ったように、子供が憧れる職業にする手段はあると思っています。
だから私達は「長く安心して働ける環境を整備する」ことが意義だと思っています。長く安心して働ける条件としては報酬が上がっていくことも欠かせません。FITNESS SALONをベースにフィットネス業界で働く機会を増やし、事業展開やサービス拡充によって、私達の考える理想の実現に取り組んでいくつもりです。
応募のハードルを設定し、質の高い応募と質の高いマッチングを実現
パーソナルジムの経営者に取材していてよく聞くのが、大手求人サイト経由は応募数は多いが連絡がつながらないことが多いなど「応募の質」に関する悩みだ。FITNESS SALONを実際に利用しているパーソナルジムに取材したところ「大手の求人サイトと比較して明らかに応募や求職者の質が高い」「既にメインの媒体はFITNESS SALONになっている」と話す。なぜこれほどの評価を集められるのか。
この理由として、FITNESS SALONで求職者が応募するためには会員登録やプロフィール登録など一定の情報入力を行わないと「応募ができない」というハードルの設定がある。大手求人サイトでは会員登録の手軽さによって応募のハードルを著しく低くしていることが多い。そのため時給や勤務条件だけを見て複数の企業へ一括応募するといった「雑な応募」が多いため、前述した悩みが発生する。
FITNESS SALONは求職者側に情報入力の熱意をこの登録によって求めることで質の高い応募を実現している。もちろんFITNESS SALONもLINEで会員登録ができるなど難易度を下げる機能は実装しているが、その後の情報入力というハードルを設定している。
求職者は基本的なプロフィールを入力した後に、勤務地や業態、契約形態などの「希望条件」を設定する。この希望条件にマッチした求人情報が週1回通知される。新着求人などは、求職者に対してここでアピールできるため、求人の掲載開始からすぐに応募をもらえる可能性が高くなる。
また「未経験者OK」などの条件を求人に立てる際に、FITNESS SALONでは「採用可能性」が低い(経験者を優先する)のであれば、極力「未経験者OK」のフラグは立てないように求人企業に依頼するなどの取り組みも行っている。その他、求人原稿の書き方マニュアルを無料で提供するなど、応募につながりマッチングの質を高める泥臭い取り組みを実施している。
「気になる機能」など、業界No1サイトを作った実績のあるチームの「ノウハウ」が凝縮
FITNESS SALONを運営しているムジント社は、元々「医学部受験予備校情報」という熾烈な競争がある市場でNo1サイトを作ったチームが集まってできた会社だ。結果的にそのサイトは競合だった上場企業が買収するに至ったほど。そのためサイトの機能開発や集客など独自ノウハウがFITNESS SALONに凝縮されており、サービス開始わずかな期間でもボリュームのある会員数と応募が集まっている。
例えば、FITNESS SALONの応募量・マッチング率が高い理由の核心でもある「気になる機能」も経験豊かなチームによって生み出されたと見ることができる。この「気になる」機能は、求職者→求人/求人企業・求人企業→求職者へ双方向に付けることができる。
この「気になる」という機能は「応募するかどうか迷うけど、気になる」という求人をブックマークする意味合いだけでなく、求職者からは「求人企業からプライベートオファーがくるかも」という後押しを求人企業側へ期待する意思表示でもある。求人企業から求職者へ送信する「気になる」は「プライベートオファーを送るかどうかは迷うレベルだけど、応募が来たら話してみたい」という意思表示にもなる。
この「応募するかどうか迷うけど…どうしよう」という迷いに対して、クッション的なステータスを設定することで、応募や採用につながる出会いのチャンスを多く生み出す仕組みとなっている。
プライベートオファーを起点にすれば、応募と採用のキッカケが増えていく
FITNESS SALONには「プライベートオファー」という機能がある。これは求人企業から求職者へ個別メッセージを送ることができる機能だ。このプライベートオファーは採用の起点となることが多く、FITNESS SALONとしても「是非活用してほしい」機能とのことだ。
例えば応募率の向上もプライベートオファーが起点になっている。上記画像の通り、プライベートオファーの送信数が応募率に直結しており、掲載期間の効果を最大化するためにも積極的に活用したい機能だ。
プライベートオファーを送るタイミングは大きく2つある。1つ目は求人企業の管理画面から求職者を検索し個別にプライベートオファーを送るパターンだ。プライベートオファーは1通600円で送ることができる。但し、求人企業は検索結果に表示された条件に該当する求職者に対してプライベートオファーの一括送信はできない。
2つ目は求職者から求人に対して「気になる」をタップされると求人企業に通知される。求人企業は、この求職者に対してプライベートオファーを送ることができる。この場合はプライベートオファーを無料で送ることができる。
プライベートオファー機能はFITNESS SALONのビジネスモデルでも収益化のポイントとなる機能だ。運営会社目線で見れば有料のプライベートオファーを大量に送ってもらえれば売上も一気にあがるのに「一括送信を禁止」していたり、気になるステータスを付加してくれた求職者には「無料でオファーが送れる」など不思議に感じる部分が多い。この収益を度外視したサービス設計の理由について新田社長に確認したところ下記の回答を得た。
「求人に『気になる』を付けてくれた求職者へのプライベートオファーが無料なのは、求職者がせっかく良いと思ってくれているのに、お金がかかるという理由で送らない、採用のチャンスを逸してしまうことを防ぎたいからです。
逆に一括でプライベートオファーを送れないようにしている点ですが、弊社としては一括送信できた方が収益的には良いのは確かです。ただ大手求人サイトで良くある体験として、オファーがきたから応募したのに、応募後すぐ書類で落とされたりすることがあります。これだと企業と求職者の双方にメリットがなく本末転倒かなと。
これを防ぐためにはDM感を出させないようにすることが大切です。本当に口説きたい求職者がいたら、その方のご経歴などに沿った丁寧なプライベートオファーを出すこと。メールでヘッドハンティングするイメージですね。この本気度が求職者にダイレクトに伝わり『自分をしっかり見てくれる会社』だと感じてもらえると思うんです。だからあえて一括送信機能を実装していません。あくまでユーザー体験を優先し、求職者/求人企業どちらにも質の高い転職・採用体験を提供するためです。」
いかにFITNESS SALONが「誠実な姿勢」でパーソナルトレーナー求人サイトを開発・運営しているのかご理解頂けただろうか。こうした運営の姿勢や、ノウハウが凝縮された機能開発によりFITNESS SALONは評価を高め続けている。
よくある質問や実際の利用企業について営業担当の川崎取締役に聞いた
―― 実際のFITNESS SALON利用方法はどのような内容が多いのでしょうか。
1ヶ月の短期間からでも掲載が可能です。もちろん通年を通して掲載されている大手フィットネスクラブのご利用もあります。最近多いのは出店ペースに合わせて3ヶ月の掲載を年に2回するといった使い方や、求人はFITNESS SALONだけに絞っていただく企業も増えてきています。
―― まとめる求人企業が出てきたのは採用の実績が出ているということでしょうか。
そうですね、もちろん求人企業さんや求人条件によるのですが、例えば「東京 業務委託 パーソナルトレーナー」であれば、月に平均して20人以上は応募がきて、プライベートオファーを組み合わせると更に増えるイメージですね。
―― FITNESS SALONの利用料金はどう決まるのでしょうか。
ご利用料金は、掲載期間・求人数・店舗数などによって決定します。もちろん掲載期間が長ければその分単価も下がります。オプションもいくつかご用意していますが、メインとなるプライベートオファーの利用が今回BEHIND THE FITNESS読者の方には無料で提供させて頂きますので、かなりお得になっていると思います。
―― 採用時の成功報酬などはかかるのでしょうか。
一切かかりません!求人の掲載料金がベースとなります。ミニマム月4万円程度から、1ヶ月単位でご利用いただけますので、採用のコスパはかなり良いかと思います。
―― 求人の掲載まではどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
お問い合わせや商談などを頂いた後に管理画面を発行させていただくのですが、入稿シートさえ早く頂ければ、即日掲載を始めることができます。スピード感については最大限ご協力させて頂きます!