オンラインのフィットネス業界誌

Twitter Facebook
2021年1月19日 Sponsored

「あのままでは破綻していた」出店に採用が追いつかず経営難に陥ったパーソナルジムの復活劇

大下 雅之(おおした まさゆき)1978年 大阪府出身、関西大学文学部卒。株式会社トライアス取締役。異業種での仕事を経て2015年に株式会社トライアス設立に参画。直営パーソナルジム、パーソナルトレーナー養成スクール、オリジナルサプリの開発などヘルスケア事業を展開している。

女性専用パーソナルトレーニングジム「UNDEUX(アンドゥ)」は2020年に一気に出店を進め、それまで3店舗だった店舗数は3倍の9店舗まで急拡大した。アンドゥが急拡大の過程で直面した経営課題について、運営会社の株式会社トライアス 大下取締役に聞いた。

約1年で店舗数3倍、初めて認識した採用の難しさ

―― アンドゥは1年で店舗数が3倍になっています。直面した課題はどのようなものだったのでしょうか。

大下取締役:結論から言うと急激な出店にトレーナーの採用が全く追いつかず、現場も経営も破綻しかけたということですね。新型コロナウイルスの影響もありましたが、採用が進捗しないことで現場も会社の雰囲気も悪くなり、私個人としてもストレスが尋常でなく大変な状況でした。

―― トレーナーの採用がネックだったんですね。そもそも一気呵成な出店に踏み切った経緯はどのようなものだったのでしょうか。

弊社は2015年に創業し2019年時点で大阪2店舗、兵庫1店舗の計3店舗体制で経営していました。幸い事業は順調に進捗していましたので、アンドゥのサービスを全国に広げようと、2020年に会社として成長のスイッチを押した形です。

―― 出店は直営ですか?具体的にはどんなペースで出店されたんでしょう。

弊社は全て直営店ですね。具体的な出店内容については2020年4月に銀座店を東京1号店として出店し、7月に天王寺、9月に恵比寿、11月に横浜、12月に青山、2021年1月に新宿を出店しました。

2020年4月にオープンしたUNDEUX(アンドゥ)銀座スタジオの店舗内写真
2020年4月にオープンしたUNDEUX 銀座スタジオ

―― 確かにその出店スピードに対応する採用は難しそうです。

今となっては採用の重要さと難しさを痛感しているんですが、正直認識が余った部分は否めないですね。(3店舗の)現状でこの程度なんだから大丈夫だろうと。本当にその程度の認識でした。

―― なるほど、認識がガラリと変わる変化とはどのようなものだったんでしょうか。

3店舗の時代は退職者がでたら補填の求人を出すという、割と緩いペースの採用で対応できていたので特段の問題を感じていなかったんですよね。この時は採用媒体にもあまりこだわりがなく、会社のHPや無料の求人検索媒体などを使っていました。応募者の量はそこそこあったんですが質は低かった、それでも余裕があったので時間をかけて採用できていたんですよね。

4月に銀座店を出店して以降、明らかに状況が変わってきました。焦って求人検索エンジンの有料プランを契約したりと動いてみたのですが…この頃なにを考えていたかというと、採用したい人数に対して質の高い求職者からの応募数が少なく、質・量ともに明らかな限界を感じたということですね。

―― 次の店舗オープンまでの時間がタイトであることが原因ですか?

もちろん時間軸がタイトなのでじっくり取り組んでいられないということもあるんですが、新店舗の出店って業務量がかなり増えるじゃないですか。出店に関する業務が増える中で、採用が進捗せず面接の数が増え続ける状況って全ての業務が圧迫されていくんですよね。採用後の研修も必要ですし。

求人検索媒体を有料プランにしてから応募量が増える割に採用が進捗しない状況に拍車がかかってしまい…かといってじゃあ「これでいいか」と人材の質には妥協できない。スタッフの質はお客様へ提供するセッションのクオリティに直結しますから。

でも次の店舗オープン日は迫ってきている。出店業務も大量に残っている。求人への応募量は多いから時間のない中で面接はとにかくこなさないといけない、でも質の高い応募は少ない、結果的に採用は進捗していないと…思い出して冷や汗かいてきました(笑)

社内は完全に修羅場、会議は言い争いに

―― 採用は結果的に間に合ったんですか?

間に合いませんでした…(笑)そこからはもう後手後手です。採用が間に合わなかった新店舗がオープンしてしまっている一方で、次の新店オープン日も迫っていると。今でこそ笑って話せますが、当時は完全に修羅場でしたね。

―― まずい状況ですね…どう対応されたんですか?

最悪の対応なんですが、既存スタッフで対応することになりました。実はこの少し前くらいに「既存スタッフの残業が少し多いよね」という話をしていた矢先にです。結果的に既存スタッフの残業が2倍近くに増えてしまうという事態に…もうスタッフの疲弊はすごかったですね。本当に人が足りなかったので、私自身もセッションに入っていました。

―― その頃は採用のテコ入れに向けてどんな議論していたんでしょう。

議論というか…そもそも毎日の業務をこなすのに精一杯という感じでしたね。とにかく媒体を探して募集して面接をしてと。

でもトレーナーの採用がうまく進捗しないことが経営にもプレッシャーを与え始めてしまい、最も恐れていたお客様からの「予約がとれない」というクレームが増えていました。経営的にはセッションをこなせないため売上の計上も投資資金の回収も計画から遅延していると。

社内会議ではマーケティングチームから「現場に送客しているのに捌けないから広告効率が下がっている」「新規入会にも影響が出てきた」という厳しいフィードバックが何度も有りました。店舗運営チームとしても疲弊しながらもなんとか回そうとしている最中でもあったため感情的になり言い争いになったこともありました。

もう修羅場も修羅場ですよね。もし採用にテコ入れできずに同じ状況が続いていたらと思うと…あのままでは確実に破綻していました。

―― 大下取締役の心労も相当ですよね。

事業部長としては個人云々と言っている場合ではないのですが…辛かったですね。現場スタッフからは「早くスタッフを入れてください」と懇願され、広告効率を現場が下げているのも事実、しかし採用において質の妥協をするわけにもいかない、でも応募が劇的に増えるわけではない。新規出店は事業計画の要であり遅延させるわけにもいかない。

日々の業務では、現場でセッションに入りつつ面接を最優先でとにかくこなす生活が続きました。現場とマーケチームの板挟みになり、業務量も積み上がり続け精神的にも体力的にも追い詰められていました。

―― 聞いているだけで冷や汗がでてきます。その頃の採用のペースはどのような感じだったのでしょう。

相変わらず求人検索媒体経由の求人がメインでした。応募は月10件程度、そこから面接に進むのが5人、内定を出せるのが1人いるかいないかといった程度です。求職者の質は低いままだったのですが、当時はもう修羅場でしたからね。正直一縷の望みを持ってむりやり面接していたといっても過言ではありません。それでも妥協はできないので、やはり内定は増やせない状況だったんですよね。

復活劇:流れを変えた求人サイト

―― 事態が好転したキッカケはなんだったのでしょうか。

振り返るとパーソナルトレーナーに特化した求人サイトフィットネスサロンを本格的に使い始めたことが大きな転機でした。今回フィットネスサロンについてのインタビューなのは分かっていますが、忖度なしで本当にそう思ってるんですよ(笑)だからインタビューをお引き受けしたわけですが。

―― 疑っていません(笑)

数字で説明した方が説得力がありますよね(笑)

今、フィットネスサロン経由で月間60件近い応募がきています。応募者の質が本当に高いので、面接に7割は進みます。そこから内定は7-8人がコンスタントに出ています。弊社全体の応募者シェアで見てもフィットネスサロン経由は応募者が7割、面接する人数で言えば8割、採用に至る方も7-8割です。求人検索媒体経由の応募者は面接に進むのが2割程度です。

既にフィットネスサロン経由で採用したスタッフは15人働いており、しかもまだ1人も退職していません。この変わりよう凄まじくないですか。一気に採用が進捗し状況が改善しました。

UNDEUX(アンドゥ)運営会社の株式会社トライアス大下取締役

―― 確かに出店店舗数や採用にお困りの時期のお話と照らし合わせると、状況を一変させるには十分な数字です。

応募者も面接人数も採用人数も以前の6〜8倍ですから。弊社の採用はフィットネスサロンを中心に組み立てられていると言っても過言ではないんです。

―― フィットネスサロンはいつ頃からご利用されていたんですか。

4月に銀座店を出店した頃から使ってはいましたが、最初は実験的にミニマムに利用しており、その後もコロナ真っ只中でしたから本格的な運用はしていませんでした。

コロナの第1波が落ち着き始めた5月下旬6月頭頃、自粛要請が解け銀座店も営業再開したタイミングでお客様も戻ってきましたし、採用が進捗せず次の店舗出店も決まっていたので、本腰を入れ始めたといった感じです。

―― フィットネスサロンの運用というとどういった内容なんでしょうか。

例えば、掲載する画像や募集テキストなどを改善していくことも運用ですよね。フィットネスサロンの担当者が電話でアドバイスをくれたので、それを反映していきました。あとはフィットネスサロンに「オファー機能」という、求職者を検索して良さそうな方にこちらからオファーを送付できる機能があって、これを積極的に使うようになりました。

―― どれくらいの効果があったのでしょうか。

本格的に運用を初めた時点で月10件程度は応募があったのですが、掲載内容の改善やオファー機能を使い始めて倍倍で応募が増えていった感じです。

―― 倍倍ですか。

倍倍です(笑)私も正直驚きました。しかもフィットネスサロン経由の求職者は本当に質が高いんですよ。パーソナルトレーナー専門の媒体なので経験者も多いし意欲的な方が多かった。それまで使っていた求人媒体経由の応募者は連絡しても半分以上は返信がないのに対して、フィットネスサロン経由の応募者で返信がこないのは2割以下です。採用業務の効率を考えると、このポイントはかなり大きい。

―― なるほど。でもフィットネス専門の求人サイトは他にもありますよね。

実は以前、フィットネスサロンに似た求人サイトも使ったことあるんです。でも登録者が全然いなくて2ヶ月で応募1件とかだったんです。あとは人材紹介型のサービスが多くて1名採用して20万円とか、なかなか手が出なかったですね。

フィットネスサロンはそういう意味でも一番コスパが良かったんです。利用料金もそうですが、オファー機能のような攻めの採用ができる機能面についても選びやすかった。

―― 攻めの採用とはどういう意味なんでしょう。

いわゆる一般的な求人サイトって「待ち」の姿勢ですよね。出店が重なってまとまった人数の採用が必要な時に、来るかどうかわからない応募を待ち続けるのってストレスなんです。こちらの努力ではどうしようもないところが多い。

オファー機能を使えばこちらから働きかけられるし、やればやるほどレスポンスもあるのでストレスはかなり軽減されるんですよね。フィットネスサロンは登録者が常に増えているので、努力をすれば結果が返ってきます。

―― 求職者の質についてはいかがですか。

フィットネスサロンを利用しだして劇的にNSCA-CPT資格者を採用できるようになりました。あと意外というと失礼かもしれませんが、学歴の高い人が多い印象を持っています。フィットネスサロン利用者のリテラシーが高いんでしょうか。スポーツ系専門学校卒の新卒の方も多いですね。フィットネスサロンで採用させて頂いた方はセッション中のお客様とのトークやセールスも上手い。

あと、パーソナルジムを経営している方には伝わると思うんですが、トレーナー以外の業務、例えば事務処理能力が高い方が多いのは本当に助かります。店舗運営が円滑に回りやすくて。既にフィットネスサロン経由で採用した方の中に、店長・管理職候補になっているスタッフが何人もいます。

UNDEUX(アンドゥ)運営会社の株式会社トライアス大下取締役

―― 最後にこの記事を読んでいる方に一言お願いします。

フィットネスサロンが無かったらと思うと…アンドゥ復活劇の立役者は間違いなくフィットネスサロンです。パーソナルトレーナー採用を1人でもご検討しているならフィットネスサロンご利用いただくことをオススメします!( 参考記事:なぜ後発のパーソナルトレーナー求人サイト フィットネスサロンが成長しているのか