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2021年2月10日 分析と解説

フィットネス大手3社 10-12月決算、コロナ禍でセントラルスポーツが黒字決算 異様な強さ示す

コナミスポーツ、セントラルスポーツ、ルネサンス、総合型スポーツクラブを運営する業界大手3社の2021年3月期 第3四半期(10-12月)決算が出揃った。コロナ禍において2度めの緊急事態宣言が発令されるなど未だ先行き不透明ではあるが、ニューノーマル下の消費者動向の見極めも進んだことで各社の戦略に独自性が生まれ、決算の内容も明暗分かれる状態となってきている。

コナミスポーツ、セントラルスポーツ、ルネサンスの2021年3月期 第3四半期決算のサマリー

各社第3四半期までの累計を見ると、コナミスポーツは昨対43.9%減の25,925百万円、セントラルスポーツは36.8%減の25,726百万円、ルネサンスは37.9%減の21,468百万円と未だコロナ禍の影響を強く感じる内容となっている。

一方で利益面に目を向けると、セントラルスポーツが3Q累計の営業利益で黒字復帰、第3四半期のみでは営業利益、経常利益、当期純利益ともに黒字着地となった。コナミスポーツは依然として四半期での巨額赤字に苦しんでおり、ルネサンスは赤字幅は縮小しているものの黒字化にはまだ時間がかかりそうな内容だ。

コナミスポーツ、セントラルスポーツ、ルネサンスの四半期売上高の推移

売上高の四半期推移を見ると、増減トレンドは近似しており全社徐々に復調傾向にあることが分かる。売上高規模ではコナミスポーツが依然として首位を保っているが、セントラルスポーツが僅差に迫ってきており今後の出店計画を鑑みると業容規模の逆転が起きる可能性は高い。

コナミスポーツ、セントラルスポーツ、ルネサンスの2020年1月-12月で計上した赤字額の合計

新型コロナウイルスの影響が本格化した2020年1月から12月までの1年間で各社が計上した最終利益(休館や感染症対策損失などの特損等を全て計上した後の利益)の合計を見ると、コナミスポーツが約62億円と最も大きく、次いでルネサンスが約39億円、セントラルスポーツが約24億円の赤字と各社相当なダメージを負っていることが分かる。

しかしここでもセントラルスポーツは赤字計上は2期間のみと強い決算を示しており、コナミスポーツとは38億円、ルネサンスとは約16億円の赤字計上額の差がついている。

このダメージの少なさとコロナ禍からの早期の立ち上がり(黒字決算)を考えると、他社に先駆けていち早く積極的な事業投資フェーズ、もしくは巡航速度での事業運営フェーズに復帰することが可能で、業界順位変動の原動力になりえるだろう。

コナミスポーツ、セントラルスポーツ、ルネサンスの売上高減収率の推移と比較

セントラルスポーツ強さの要因を簡易的に考察できるポイントとして、売上高減収率を見ていきたい。

直近約2年間のコロナ禍での3社の減収率を見ると、セントラルスポーツは常に他2社よりも少ない減収率を維持し続けており、実際に他社より減収幅が大きかったのは2回しかない。特にコナミスポーとは大きな減収率の差が出ており、この期間のセントラルスポーツは平均減収率で3%他社と差をつけ続けている。

なぜセントラルスポーツが他社に比べて減収しにくかったのかという点については別の記事で詳しく触れていく予定だが、例えば事業ポートフォリオやスクール比率、物販比率、はたまた休館などの対応の違い、現場スタッフのオペレーションの質など多岐にわたる点が考えられるだろう。

このタイミングこそ各社戦略の独自性が鮮明になるため、戦略の見極めは示唆に富む内容であることは間違いなく、またコロナ禍に苦しむフィットネス事業者が立ち直るヒントをセントラルスポーツの戦略から見つけることができるかもしれない。

コナミホールディングス IR資料室
https://www.konami.com/ir/ja/ir-data/
ルネサンス IR
https://www.s-renaissance.co.jp/ir/
セントラルスポーツ IR
https://company.central.co.jp/investor/