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2021年4月12日 分析と解説

カーブスHD 黒字復帰、会員減は例年を上回る 21年8月期 第2四半期決算

女性だけの30分フィットネス「カーブス」を展開する株式会社カーブスホールディングスは9日、2021年8月期 第2四半期(20年9月-21年2月)決算を発表した。2021年8月期 第2四半期(累計)の売上高は118.9億円(前期比▲17.6%)営業利益8.7億円(▲70.8%)経常利益6.7億円(▲78.0%)当期純利益3.5億円(▲83.1%)となった。

約2,000店舗という国内屈指のチェーン業態を展開する同社は、20年4月に発令された1度目の緊急事態宣言で大きくダメージを受けた。同社の第2四半期途中の21年1月に2度目の緊急事態宣言が発令されたことで、同社の決算に注目していた業界関係者も多いのではないだろうか。また今後開示されるフィットネス上場各社の四半期決算を予測する意味でも注目度は高い。

カーブスHD開示資料からBEHIND THE FITNESS編集部作成

四半期推移を見ると、1度目の緊急事態宣言が発令された前期 第3四半期から徐々に売上、営業利益ともに回復傾向に有り、今期 第2四半期(20年12月-21年2月)は売上高61.7億円(前期比▲13.0%)、営業利益8.8億円(▲36.3%)と黒字復帰となった。対前期比の減収幅は10%台、減益幅は30%まで戻ってきており、フィットネスに対する消費行動に回復の兆しをみることができる。

カーブスHD開示資料からBEHIND THE FITNESS編集部作成

第2四半期末の店舗数は純減し1,988店舗。これは同社が以前より発表していたコロナショックの影響が大きい店舗の統廃合が進捗したことによるもの。カーブス店舗のほとんどはフランチャイズ店舗となっており、今回の統廃合は内訳推移を見ると全てフランチャイズ店舗の減少となっている。同社は今期の新規出店を20店舗にとどめ、店舗の統廃合100店舗を計画しており、2021年8月末では80店純減の1,940店舗と予想している。

カーブスHD開示資料からBEHIND THE FITNESS編集部作成

業績、店舗数の減少については想定の範囲内としてきた同社だが、会員数減少に与える影響は大きい。コロナ禍で設置した特別休会制度を利用した休会会員数は4.4万人、通常の会員数は6.4万人と全四半期に比べ4.8万人減少した。店舗の統廃合で他店舗へ移籍した会員数は70%超となっており、当四半期での統廃合店舗数を考慮すると、会員減少への影響は限定的と考えられる。

例年、同社の第2四半期(12月-2月)は季節要因で新規入会が抑えられ会員数が減少する期間となっているが、当四半期においては「例年を上回る」会員数の減少になったと発表している。業績面では1度目の緊急事態宣言時に比べると2度目は業績に対する影響は少なく見えるが、当四半期において例年を上回る退会数だったことを鑑みると、2度目の緊急事態宣言の発令による影響は一定数有ったと考えるのが自然であり、フィットネス市場の消費行動はやや消極的な方向に戻った可能性は高い。

同社は今回の第2四半期決算の発表と同時に、通期業績予想の上方修正も実施。営業利益10億円の計画を13億円の増益計画に修正しており、一見右肩上がりの回復傾向に思えるが内容を見ると少し様子は異なる。

修正された通期業績予想と今回発表された上半期業績を見比べると、下半期の売上高予想は上半期と同水準と予想している反面、下半期の営業利益は4.3億円予想と上半期50%程度の計画。同社が下半期の業況(特に利益面)については厳しい見通しであることが分かる。

非接触型サービスの新規事業として打ち出しているオンラインフィットネス「おうちでカーブス」への先行投資など前向きな投資による減益効果があるとしても、店舗統廃合による店舗数純減ならびに会員数減少のトレンドは下半期も続くと見られ、完全な業容回復、再成長への道のりにはまだ時間がかかる見込みだ。

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